2011年1月12日水曜日

マーガレット サッチャー Margaret Thatcher: The Long Walk to Finchley

サッチャー役のアンドレア・ライズブロー
食料雑貨商の娘マーガレット・ヒルダ・ロバーツはオックスフォード大学で化学を専攻し、研究者としてライオンズ社に就職し、アイスクリーム添加物の仕事に携わっている。父の薫陶を受け”鉄の娘”に成長した。趣味は「政治」と言い切るつわもの。

労働党の牙城であるケント州ダートフォード選挙区では美しい女性候補者として注目を浴びるが、無念の落選。後に首相になるエドワード・ヒースとはこのころから同胞でありライバルでもあるという関係が始まる。バツ一のあまりぱっとしない(あ、ドラマの中ですから・・・)、しかしとても優しいデニス・サッチャーに、自分から堂々と結婚の条件を述べてプロポーズ。妊娠中に弁護士資格取得。そして双子を出産し、「男の子と女の子を一度に産めたので手間が省けたわ!」みたいなことをケロリと言う。

すべてが政治を中心に回る生活。同じ女性からの女性政治家への偏見と差別、そして落選にさすがのマーガレットもへこむ。少し政治の世界から身を引くものの、丘に上がったカッパのようで、それを見ている夫のデニスも落ち着かない。ほどなくして政治の世界にパワーアップして復帰。その後も大衆層出身の彼女に対する上流階級の抵抗や、何度もの挫折を乗り越え、ロンドン北部フィンチリー選挙区でついに初当選を果たす。

打たれても、打たれてもますます強くなるその姿はまるで鋼。彼女はすでに若くして「鉄の女」だった。意思の強さ、ぶれない判断、物おじしない性格は、男でもあり女でもあり。いづれにせよあのずっしりと重い伝統の社会で頂点まで上り詰めるというのは、男であっても並大抵のことではないだろう。くじけそうな時に夫から「弱みを強みに変えることだ」と助言され、自らの弱点である”女性”を強みに変えるため、ブロンドに髪を染め直しフェロモン全開でいざ出陣。そのあっけらかんとしたたくましさに何かとても明るい気持ちになった。

サッチャーの功罪についてはいろいろと書かれている。例えば失業者を増大させ、地方経済を不振に追いやったと言われる一方、労働党ブレア首相の改革はサッチャーによる財政立て直しの財源がなければなしえなかった、など。歴史的な評価が定まるにはまだまだ時間がかかるだろう。現在彼女は認知症の症状が進んでいるという。

彼女の言葉で面白いものを一つ。
「言ってほしいことがあれば、男に頼みなさい。やってほしいことがあれば、女に頼みなさい」

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